080アクリルで空想のクリスタルの原石を作る

2012年10月8日 Delivery Works 俵藤ひでと

ここに、H650W250D250のアクリルのブロックがあります。重さは49Kg。

厚さ50mmのアクリルの板を5枚重合接着で貼り合わせて作ってもらいました。

水族館の大きくて、ぶ厚い板の水槽を作る時と同じ手法です。

ここから何をするのかと言いますと、このブロックを削り出して大きな「クリスタルの原石」を製作します。

3週間かけて、徐々にカタチにして行く過程を紹介したいと思います。

クリスタルの原石はいわば結晶体なので、不等辺6角柱のプリミティブな形状を基にデザインしていきます。

先ずは粗切りをして行く。

この仕事を請ける際に、ちまちまグラインダー等で削って行ったら年が明けてしまうので、

大胆に粗切り出来る工具を使わないとイカンと言うことで、電動セーバーソーを購入。

もちろんアクリル用の工具ではないし、刃渡りが30cm以上のノコ刃もアクリル用などもないので、

アクリルが、ガリっと欠けたりしないか少し不安でしたが、もうやるしかありません。

まるで、マグロの解体ショー。

はたしてこんな事をやっているアクリル業者は他にいるのだろうか?

ほとんどアクリルとの格闘です。

「ドゥルルルルルル」と、電動工具から強くて小刻みな振動が身体中を駆け巡ります!

長く作業をやり過ぎるとちょっと危険かも。

筋肉痛のみならず身体の血行が良くなり過ぎて、因果関係はわからないが、ウチの親父さんの場合は一時的に血圧が上がってしまった。

あぶない。

倒れてしまっては困るので、お互い休みやすみ、交代で作業を進めることを心に決めました。

大きな氷砂糖みたい。

アクリルは切って行く際に摩擦で熱を持って粘り、ノコ刃が焼き付いて切れなくなるので、

どんどん交換して行きます。ノコ刃を10本以上ダメにしました ・・・

粗切りでざっくりとある程度つくり、

ここからはグラインダーや、ベルトサンダー、オービタルサンダーで小さなカットを付けて行きます。

発泡スチロールの模型でイメージをつかみながら、同時進行で形を作り、カットする箇所を決めて行きます。

失敗すると元に戻せないので、悩みながら慎重に進めます。

耐水ペーパーを使い、手仕事でカット面を研ぎ出す。

少しずつ耐水ペーパーの目を徐々に細かくして削って行く、

とにかく地道な作業が何日も続きます。

カット面が整ってきました。

現状は磨りガラスの様なマットな質感ですが、バフで研磨すると徐々に透明になり、輝きが増してきます。

微妙なデコボコや細かい削り跡を、磨いてはチェックして、

耐水ペーパーで削り整え、またバフで磨くを、何度も繰り返して仕上ていきます。

仕上げの耐水ペーパーの最終番手は最低1000番。

場所によっては1500番。かなり細かくしていきます。

そのようにしておけば、

バフを軽くあてるだけ仕上げられるので、

面がダレず、カット面がシャープに出来る。

フィニッシュかなー

” FINAL FANTASY “というゲームソフトのイベントの為に製作したものでした。

納期にも間に合い、出来もかなり良かったと思います。納められてホッとしました。

最初は本当に出来るか不安もあり、引き受けるかどうかも悩みましたが、

やってみたいという気持ちの方が強かった。

こんな仕事なかなかやらせてもらえないので、またひとついい経験になりました。

078オヤジの挑戦 1

2012年4月24日 Delivery Works 俵藤ひでと

誰にでも そして すべての物事に 正面からは見えない側面がある

などと、ちょっとカッコ良く言ってみましたが
私の親父は、そんなことはお構いなしに
正面からも、側面からも
木のブロックを切り抜いていきます。

size : W90 D90 H450

この彫刻は、5軸のNC切削マシーンで加工したモノでも、
3次元造型機で作ったモノでもない。
「糸鋸(いとのこ)」という、細いノコギリ状の刃物を
上下に動かしているだけの非常にシンプルな機械で作っている。

正直、出来上がるまでどんなカタチになるのか想像できないのですが、
立体的になるとかなり複雑な形状になって面白いです。
(漢字でやってみたら、複雑すぎて一見何なのかわからない 笑)

size : W90 D90 H90

わざわざ「俵藤」って。どうせならもうちょい気のきいた文字でと思うのですが・・・

しかも、ウチの機械は40年前から使っている
かなり古いものですが、現在作られている糸鋸盤では作業できない
大きいサイズの板や、厚いものをカットできるスペックを持っています。
(ただ古いだけじゃないトコロがいい!)
構造もシンプルにできてるので修理しながら使い続けることができる。

刃物が上下に動いているだけなので、言うまでもなく
加工する部材を正確に動かさなくてはならないので、
自由に、思い通りに切るには、結構な技術がいります。
それが、このような分厚いモノだと更に難しい。
(一般のモノより、長い糸鋸を取り寄せ90mmの厚さまで挽けます。)
親父は昔、これ一本で食っていたと言っても過言ではない。

友人の結婚式の為に、二人のイニシャルTとYで作ったリングステージ。

現在は、レーザーカットやウォータージェット、
NCマシーンなど、データ入力でカットしてもらうことも多いのですが、
ウチらはこの糸鋸を現役で色んな加工にバンバン使います。

デジタルなプロセスで加工する仕事が当たり前となった今
このような、職人技が出来る人も少なくなりましたが、
親父は糸鋸でやれる表現に挑戦しています。

それが職人としての親父の側面かもしれませんね。

photo:Takaaki Koshiba

077忘れないためのネームプレート

2012年3月10日 Delivery Works 俵藤ひでと

子供達のために作った、みんなの名前を入れたネームプレート。アクリル製だから食べられない。
“ Don’t eat , if you want it ! ”

便利なモノは時に、甘いチョコレートのようにとても魅力的に感じたりする。

永続的にエネルギーを作り出す、まるで打出の小槌の様な原子力も、
そんなふうに見えたのかも知れない。

だけど、人類にとってそんな都合のいいモノがある訳がない。
引き換えに、半永久的に人々の生命や生活を脅かし続ける仕組みにもなる。

人類はおそらく、原子力をコントロール出来ない。そう思った方がいい。
いつか原子力を完璧に操れる技術が出来るなどと思い上がっていると
また同じ事が繰り返されるから。

僕らの子供達が大きくなった時、同じ問題が起きないように。
そして同じ問題が起きそうになったら、ちゃんと議論できるように
感じていてほしい。

今はまだ解らなくていいんだ。
おいしそうなチョコレートが少しとけ出してしまった
ネームプレートにそんな意味が込められてるなんて。

あれから1年、忘れないために.

073NIKEさんのお仕事

2011年9月13日 Delivery Works 俵藤ひでと

7月のはじめ、ウチの工房3軒左隣りの設計施工事務所レストの長谷川くんから

「俵藤くん、仕事ぉ〜」と電話。行こうと思えば30秒で行ける距離。
代理店の方もその場におられて、すぐにミーティング。
「NIKEさんのお仕事なんですが、こんな事を考えてます。出来ますでしょうか?」

NIKE HIPERFUSE (ハイパーフューズ) という、
縫製をせず熱圧着によって一体成形するシリーズがあるようで、
昔の型(AIR MAX 90、AIR FORTH 1など)のシューズを、そのテクノロジーでリデザインされたコレクションのPR。

色はヴィヴィッドで、パーツがレイヤー状に重なっている感じをアクリルで表現できないか。
それを、ウィンドーいっぱいにディスプレイしたいと。
「まだプレゼン段階ですが、4日後にそのプレゼン的なものが・・・」
サンプル製作費出します。プレゼンに通らなくても自腹切りますという男気を買い、
大至急デザインとグラフィックデータを作成し、3日で作りました。
外注業者さんにも休日出勤強要(ご無理を言ってスイマセンでした)


3枚のアクリルパーツを重ね、スニーカーのグラフィックもレイヤー別に分かれ、少し立体感を出してます。
グラフィックはレーザー彫刻で削っている。

数日後、このデザイン案が通ったと言う嬉しいお知らせと、
同時に5店舗やる事が決まったと言う、大変なお知らせを頂きました。

セレクトショップ「BEAMS」さんの店舗を中心に、
スニーカー専門ショップさんの売り場を一定期間お借りして展開する予定で、
場所は、渋谷、池袋、上野、大阪、それぞれの店舗に合わせたディスプレイを行う。

レストの長谷川くんも、ハンガーやディスプレイ台、どでかい什器の設計や製作の手配などで、大忙し間違い無し。

しかし、企画デザインが固まるまで、展開する予定の各店舗さんへは話しが通らないので、
現場採寸や現場写真撮影などが堂々と出来ない。
でも、現場行ってボリューム感や、環境状況を調べないと見積りも出せない。
なので、「天高、2500くらい?」とか、「450ミリ角のタイルが5枚分ぐらいだから・・・」
とか、現調は勘だより。

ところが、店員さんとスニーカー談義に花を咲かせるレスト長谷川くん。(長谷川くんはスニーカー大好き)
「このスニーカー、マジいいっすね!買っちゃおうかなー」と、本気で買い物しようとしているのか?
ちょっと不謹慎じゃない!マジメにやってよ、と思ったのですが、
どうやら、店内で明らかに商品を見ず、天井と床ばかり調べる不審な僕をカバーリングしてくれてたみたいです。

とまあ、お互いをサポートしつつ、ご近所という地の利を活かした最速連携プレイで、何とか無事に同時5店舗
納める事が出来ました。

デカい什器を組立てる、レストさん達。

高さ2.3Mあるディスプレイ什器のフレーム。

渋谷atmosのウィンドウ

枠をはめ、ワイヤーを張って吊っている。

渋谷BEAMSのウィンドウ


100個ぐらい吊ってます。

子供の頃に見てた、たくさんの色のアクリルがいっぱい。
久々に、アクリルらしい作りものをやった気がしました。

これが“NIKE HIPERFUSE”コレクション

068mizukagami 展示会を振り返って

2011年1月7日 Delivery Works 俵藤ひでと

昨年、原宿ROCKETの展示では、たくさんの方にお越し頂きました。お忙しい中、そして会場まで迷いながらも足を運んで下さり本当にありがとうございました。

この展示はアートディレクター長嶋りかこさんとの共作でした。彼女の考えるクリエイションに、僕がどこまで表現できるかイメージと技術のせめぎ合いで、製作は非常に苦しいものでした。

だけどそれ以上に、僕の意識の範囲を超える新しい価値観や感性でのモノづくりの中で得たものはたくさんありました。モノを作れる人間は作って終わってしまうことが多く、それをどう見せるかどう伝えるかというところまでなかなか行き届いていないと気付いた。自分の土俵だけでモノ作りをするのではなく、時には非効率的でリスクがあっても挑戦することが必要で、僕にとって今回それは手仕事を惜しまないことだった。

そしてこの展示会はたくさんの人たちの協力があってできたのです。本当に感謝です。

力を貸して下さった皆様本当にありがとうございました。

2011年もどうぞよろしくお願いいたします。

俵藤ひでと






034バングルのデザイン – メイド イン ジャパン –

2007年7月20日 Delivery Works 俵藤ひでと

こちらをクリックしてください