069モノ作り 今昔
2010年9月1日 EXIT METAL WORK SUPPLY 清水薫
今回は照明メーカーのマックスレイ にお伺いして
リサーチ アンド ディベロプメント室 室長の冨野さんと商品企画グループ 主任 の山田さんに
照明器具の開発やそれに関する日本のモノ作りの今と昔のお話を聞いてきました。

右がリサーチ&デベロプメント室 室長の冨野さん左が商品企画グループ 主任の山田さんです
冨野さん | 私は照明の業界に入って30年以上やっているんですけど 今 モノ作りをする人が後継ぎを含めてもういないんですよね。 社長自らがね 息子に継いでほしい気持ちはあるけど、 やっぱりこんな辛い仕事継がせたくないって、 徹夜して納めて、わーわー吠えた割にはたいした身入りがナイっていうね。 また、息子の方も 正直 ツメ先が真っ黒になるような仕事は避けてまうよね。 照明業界の鉄板の加工では 溶接屋さんとハンダ屋さんと二つありまして それぞれに職人さんがいたんですけど 今 やる人 誰って もう70過ぎた人たちしかいない 昔はね、私の若い頃はね、職人さんにヘタな図面持って行ったら 抜きテーパーがない とか取りシロがない やらね 「分かってんのかーっ! 」ってね 怒られて、イヤ指導してもらってね(笑) 溶接した事あんのかって聞かれて 「ありません」って言うて 「じゃぁ いっぺん やってみー !」ってね やったら盛りすぎちゃったり 薄板に穴あけちゃったりでね いろいろ職人さんが教えてくれたんだ。 ヘラ絞りもみんな やらしてくれた。 最近のデザイナーさんは 紙で模型は作れても 製作の現場に触れる機会がナイでしょう。 工場行ったら行ったで 今じゃ 「ケガされたらアカンから 」ってなるし、、、 |
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山田さん | 最近 業者さんとやりとりしてて思うのは コチラが指示した事を工夫して返してこないんですよね。 出来なかったら 「出来ない !」で終わりなんですよ。 ボクが入社した当時は今の一代目の社長がまだ現役でやってる時で 例えば ボクがこんなのやりたいですって図面 持っていったら 「こんなの出来るかーっ !」って言われた一週間後に 「これで どーやねん」って出してくれるわけですよ。 「これが 限界やーっ !」って 作って見せてくれるわけですよ。 んーなら こっちとしては限界を見せてくれたから そっからまた 新しい事を考えていこうってなるわけですよ 今 そういうのないでしょ 時代なんですかねー |
冨野さん | そんなこんなでねぇ。 まぁ 私が歳くったってのもあるけど 照明のモノ作りを考えたら 今 何か動かなきゃって思って、、、 マックスレイとしては デザイナーさんから「こんな面白い照明作れませんか?」っていわれたら 「出来ません」って言うのがイヤやから、何としてでもメイドイン ジャパンで出来るトコ探そうって まぁ 自分の知ってるトコの人でも65とか70やけど それでも その人が現役でやってるうちにいろんなトコに話をつけて 何かあったら次にバトンタッチできるようにと、、、今 そんなことやってるんです |
清水 | マックスレイのリサーチ & デベロプメント室 のことですね。 |
冨野さん | うん 今年から始めたんだけどね。 そしたら 日本に モノ作りする人がいないんだよね。 電球のガラスを作る工場が大阪にも一つだけ残ってたんだけど もう そこも なくなっちゃったんだよね。 で、東京はまだ 職人さんがおるってなったから東京に行かしてもらったんやけど 社長が出てきてな「今日は仕事がナイから閉めてん」やって。 窯に火 入れたらもう 温度上がるのも時間かかるし あれやこれやで大変やから 今は週末にしか 釜を動かさないんやて、もう そのうち止めるって言ってたよ。 関西もおらん 関東もおらんで あと新潟しかなくて、で、新潟 行ったよ。 そしたら そこでもみんな止めちゃってもう一社くらいしか残ってなかった。 ランプの吹き硝子って職人さんじゃないと出来ないんですよ。 まぁ 機械吹きっていうのも あることはあるんやけど 違うのね。 その工場は職人さん3人くらい 抱えてたんだけど みんな65から70で、もう 2~3年で 体力的にも 引退だね。 工芸品とか芸術品を作る人はいるんだけど工業製品っていう つまり数が100ケとか200ケとかを安定して作る人、そういう人の成り手がいないんだよね。 あと3年間だよ その人達が作れる期間は、、、 それが 今の実状かなぁ。 |
清水 | そんなぁ、、、 っていうか 作りたくても デザインしても 作れなくなるんだ うぉー、、、 |

