022 鋼材その13 クロームメッキ
2010年10月17日 カテゴリ 鋼材加工について 投稿者 井口産業 井口隆一郎
今回はいつもの材料についてではなく仕上げのクロームメッキについて紹介したいと思います。
金属による製作物の仕上げ方法は数あるものの一番金属らしい仕上げはなんといってもメッキではないでしょうか?
メッキと一言で言ってもその種類は多く、工場によって出来るものと出来ないものがあったり得て不得手があります。
種類を大きく分けると装飾用と防錆用とすることが考えられ、クロームメッキはその中でも装飾用の代表格として位置づけられていて良く目にすることがあるものです。
それでは工程や注意点・種類などを見ていきたいと思います。
1. 酸洗
常温の塩酸を使い黒皮を剥がしていきます。研磨されている品物以外はすべて酸洗することで汚れを落とし下地の状況を確認する事から始めます。
![]() 酸洗前の品物 |
![]() 酸洗中の品物 |
2. 研磨
下地の状態によって番手を換えて行くのですが通常は平滑で奇麗な物をよしとするので表面が荒れている物を持ち込むと金額が高くなったりうまく鍍金が入らなかったりします。
また、研磨の番手を上げる事で仕上がりを良くする事が出来ますがもちろん行程が増える分は金額に反映されます。
![]() ニカワを使って自分たちで研磨材をつくります。 |
![]() 重い物は二人掛かりです。 |
![]() 必要な面だけ磨きます。 |
3. アルカリ脱脂
85度前後のアルカリ溶液で脂をとります。TOPの写真がアルカリ溶液なのですがかなり怪しい液体です。
4. 酸洗
再度、最初のとは違う塩酸の槽に浸けて洗います。
5. 手洗
細かい製品や入り隅が多い物は中性洗剤などで念入りに洗います。
6. 電解脱脂
苛性ソーダの入っている浴槽の中で電気を通電させて最後の下処理を施します。
7. ニッケルメッキ
品物の大きさや厚みによって電圧を替えたり漬け込む時間を調整します。
この工程によって最後のクローム皮膜の仕上がりがすべて決まりますのでニッケルを厚く付けることで傷を隠したり薄く付けることで金額を調整したりします 。
品物を電極にぶら下げて浴槽に漬け込む必要があるので必ず吊り場所が必要になってくるのですが、この場所によって仕上がりに大きく影響してくるので心配な時は良く相談してからメッキする事が必要です。
場所によっては電極を伸ばしたり吊具に工夫をしないとメッキできないものも多いので注意しましょう。
ニッケルメッキが入らないと勿論クロームメッキは入りません。
8. クロームメッキ
最後にクロームメッキを付けて終了です。
鍍金浴槽は温度管理が大切なようで何度くらいあるのか聞いたらすぐ答えてくれました。
クロームメッキの種類
仕上がりのクオリティーや新しく考えたものを考えると種類は無限に広がるのですが基本は研磨の有無とニッケル地にHLや傷を入れることで梨地にするダルクロとニッケルサテンがあります。
ダルクロはニッケル地に化粧をしてクロームメッキ、ニッケルサテンはクロームの代わりにクリア塗装を施します。
ニッケルは防錆が弱いので錆が出る可能性が高いですが黄色っぽい色味は好まれています。
サンプルでサンドブラストしたものをクロームメッキしてものがあるのですがこれも表情としては面白いかもしれません。
板や太い材料の場合はうるさくなってしまうかもですが。
クロームメッキの注意点
今までは書いてきたことに注意すれば特段問題は有りませんがメッキ処理全体的に共通することで水抜き穴は特に注意が必要です。
クロームの場合はいつまでもパイプの中などに水がたまったままになってしまったりしてしまいます。
クロームメッキなどの電気メッキは通電によって皮膜を形成させるのできれいに仕上げたい場合は点付けや入り隅などの端折はご法度です。
メッキ工場は排水管理をしっかりしないといけません。
こちらの工場でも地下のの浄化槽でpH値を測りながら調節していました。
メッキ屋さんはどんどん郊外へ追いやられていて新たに都市部での新設はできなくなっています。今回は亀戸にある有限会社小林鍍金工業所様に取材協力頂きました。
こんなん見つけました。
スモール角パイプの黒皮材です。
すべて厚みが1.6で25角・31角・40角・40x20・50x30がありました。
25角以外はR付きです。
今月の鋼材相場
下げ
引き続きスクラップ価格が安値となっている。
これ以上ない程の低水準在庫の上に市況的にも弱い傾向。
秋口に多少の回復が見られるか期待のあった建築もなしのつぶて。
少しは景気の良い事言いたいです。
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