026鋼材その16 螺旋曲げ考察

2011年3月3日 井口産業 井口隆一郎

螺旋は曲げの中でも難易度の高い部類に入ります。
ちょっと複雑な複合螺旋曲げの仕事をしたのでご紹介いたします。

柵の横桟なのですが逆さにした直円錐を斜めに切った方向に対して波形が重なったような形状です。

SGP20A(27.2φx2.8t)

写真の様な形状を上下に作り柱部分でつなぐ様にして一周まわします。
しかも、下がっていくにしたがってRとRの幅が狭まって行くという注文です。
実際、見た目が美しければOKな世界での話ですので請け負えますが精度が必要な場合はかなり厳しい事になります。

見た目が良くても接点が合っていないと組立できないので実寸の型を作ってそれぞれを現物合わせしていく事で確認をしていきます。
まず、曲げ工程が左右にあるので少し伸ばし気味に寸法をとってただの円錐を切り取った様に作ります。

逆直円錐の一部

次に接点の位置を割り出すために展開図を考えます。
ここが今回は勉強になりました。

よく見ると円錐を下から斜めに切っています。

太い線が円周に対する角度で寸法線がそれぞれの角度での側線実長になります。
板取りの展開図を紹介している古い本を見たのですが、昔はみんな定規とコンパスで何でもやっていたんだと再確認させられました。

さて、接点の寸法が割り出せましたので、大体の曲げRを実寸から割り出しプリンター用紙をつないで型紙を作ります。

この場合、Rはなりです。

螺旋を曲げる場合に、この機械では2パターンの方法があり1つはR曲げする際に下から押し上げるようにして螺旋を作り上げる方法と、R曲げを数カ所でねじることで螺旋状に見せる方法があります。
正式には前者が螺旋曲げではありますが今回は波型の螺旋なので逆曲げが発生するために後者の方法をとってねじって行く事にしました。
色々と試した末に複雑にねじればねじるほど取り留めがなくなってしまうので、ねじる分岐ヵ所を最小の3ヵ所で形状出しすることにして作業を進めます。

こんな感じです。

上から見て円錐に沿っているのではないでしょうか。

あとは経験値でRを合わせて行くしかありません。

今回は、使っている機械がNC3Dベンダーだからデータ入力すればそのまま出て来るとよく思われますが、私がやっている感じですと全くそんなことは無いと言うお話でした。


今月の鋼材相場
上げ
引き続きの上昇傾向ではあるが市況の現在は小康状態を保っている模様。
が、原料高を理由に大幅な値上げが控えている。
需要は底堅いと噂されているが急激な値上げについていけるのであろうか。

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