028鋼材その18 磨棒鋼

2011年5月23日 井口産業 井口隆一郎

磨棒鋼ってご存知ですか?
以前もご紹介しましたが、鉄を扱った商売をしている私が知っているのは当たり前なのですが皆さんの認知度ってどうなんでしょうか?
ステンレスのように光った精度の高い丸棒や平鋼・角鋼のことで主に車や機械の部品の切削母材としてや黒皮の中間サイズとして使われます。
今回は以前より作り方が気になっていたミガキ棒鋼の冷間引き抜き工場にお伺いしました。

磨き棒鋼在庫倉庫

こちらは綺麗な作業場で足場もしっかりとした見学しやすい工場でした。
磨き材なので油の匂いが充満していましたが予想していた削りカスがどこにもありません。
改めて質問した所、削るのではなく引っ張るだけだと言います。
要するにオーバーサイズの材料に対して先端だけ少し削るか叩き細くしておいて
製造したいサイズに引き抜く穴のあいた型(ダイス)を通して引き延ばすようなイメージで加工しています。
『穴に通して引っ張るだけ』と、口ではとても簡単に言えますが精度を出すのは大変なことです。
一定のスピードで引っ張り続けなければいけませんし、曲がりや傷の検査から始まって強度も母材の表面や熱の加わり方でで変わってきてしまいます。
特殊鋼の部類は、金額が張ることもありますが機械加工の母材になることも多いので製造管理は厳重に行わないといけません。

こちらではbar to bar と coil to barという2種類の引き抜き加工方法を採用しています。
バートゥーバーとは主に太くてコイルに出来ない25~65φのものを棒状の母材から棒状の製品にする方法です。
コイルトゥーバーは量産向きで連続して細めの5~34φのコイルに出来る母材を加工していきます。

コイルは結構な大きさで2tくらいはあるのでしょうか?
材料を機械にセットするのもかなり大げさで、衝撃的な光景でした。

母材が黒皮なので引抜前に酸洗かショット加工しなければならずこちらではショット加工をされていました。
かなり目の細かいショットなので流れてくる材料はすでに光っています。

やはり大量の型が保有されていました。
しかし、このダイスで引き抜いて成型できるなんてホント不思議です。
しっかりした工場見学をさせていただき大変勉強になりました。

今回は、城北伸鉄株式会社様に取材協力いただきました。
いつもお世話になりありがとうございます。


今月の鋼材相場

強含み下げ

種類により上げ下げがあり全体的には強含みだが実勢で下げざる終えない状況と言える。
高炉品は上げ電炉品は下げと言ったところか。
需要はますます悪くなり、まさに不況と言った様相となっている。

このエントリーをはてなブックマークに追加このエントリのはてなブックマーク数このエントリをつぶやく

鋼材その18 磨棒鋼 への1件のコメント

  1. 2011年5月23日
    shawn&megu  久保田大喜さんがコメントしました。

    圧巻のスケール、、スゴ過ぎます、、
    工場の夜景スポットを巡るツアーとか写真集が密かに流行っているらしいのですが、こういったツアーも人気が出そうですね。

コメントを残す

コメントを投稿するにはログインする必要があります。