入谷の町で

2011年7月6日 KNUT ceramic studio 小川由利子

江戸時代、この町はウグイスが多く住む谷だったそうです。そこから名前がついた町、それが鶯谷です。
鶯谷(根津)を少し歩くと入谷の町へと続きます。

鶯谷の駅

スカイツリーは、もうこんなに高くなりました。

この町は煎餅屋が多い気がします。

galleriaAccaという小さなギャラリーは入谷の町、昭和通り沿いにあります。
ここで私は個展を開催させて頂きました。
ここは今年で5周年を迎えました。白い壁とまだ新しい木の香りがするきれいなギャラリー。 温かいオーナー夫妻が迎えてくれます。

galleria Acca

私は染付という技法で器を作っています。
染付とは、酸化コバルトを含む青色の顔料で文様を描き、透明の釉薬を施した焼き物のことです。藍色で染め付ける「藍染め」からその名はきました。中国では青花、英語ではblue&whiteと呼ばれています。
元の時代(14世紀)、中国の景徳鎮では染付が盛んに焼かれていました。
その後江戸時代(17世紀)初期、朝鮮から日本へと伝わります。
中国で生まれ、日本へ伝わった染付は佐賀(九州)にて新たに肥前磁器(伊万里焼)として日本独自の姿に変わりました。1867年、伊万里焼はパリ万国博覧会で脚光を浴び、世界中で愛される焼き物となりました。

その染付が朝鮮から入ってきて間もない頃の姿。
白土はしっかりと精製されていないので目が粗く、鉄分も含まれます。
明治時代に入ると人工的な藍色の顔料が出来ましたが、この時代はまだ天然の酸化鉄を調合していました。
その完成されてない器には、いとおしさを感じます。

そして面白いのが染付の器に描かれている絵です。身近なもの~縁起の良いもの。昔の陶工たちの姿までもが描かれています。絵の中からその時代の背景もみえてきます。
陶工たちは、器の中に楽しみを見つけているのです。格好が良い器やきれいな器、使いやすい器を作るだけではなく器作りを愉しんでいるのがわかります。そこも染付の器の魅力のひとつです。
そんな先人たちの器づくりを引き継いで、私は今の時代の染付を描きたいと思っています。

「 arche de noe (ノアの方舟)」 上部が蓋になっていて、蓋を取ると花入れになります。

「 NIPPON 」 鉢

「 オランダ船のマグカップ 」

「 ペンギン 」

「 雲の茶碗 」

「 マイホーム 」 小物入れ

「マイホーム」  裏側

「 小さなかご 」

「 オランダ船の抹茶茶碗 」

「 タクシー 」 小物入れ

「 船 」

“]

「 鳥 」

 

「 海の鉢 」

 

大切にしていることは、伝統。
先人たちが歩んできた道や彼らが大切にしてきたものを私たちは重んじるべきです。
その上で自分の思いと手が加わり、今の時代を生きる私の染付が生まれます。

梅雨~初夏へ。爽やかな空気を感じて頂けたでしょうか。
足元の悪い中、時間を見つけて足を運んで頂いた皆様、本当にありがとうございました。

風情ある下町の雰囲気を味わい、また皆さんの温かい言葉に励まされた一週間でした。
ありがとうございました。


*お知らせ*

「 小鳥の作品展 」

2011年7月13日(水)~7月19日(火) am10:00~pm8:00 (最終pm5:00)
阪神百貨店 梅田本店 イベントスペース9

knut ceramic studio は鳥の器やカップ、鳥人形を出品致します。鳥が好き方、どうぞお越し下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加このエントリのはてなブックマーク数このエントリをつぶやく

入谷の町で への4件のコメント

  1. 2011年7月7日
    EXIT METAL WORK SUPPLY 清水薫さんがコメントしました。

    小川さんの世界感がじんわり出て とても素敵な展示会でしたよ
    今度 灰皿作って下さいね

  2. 2011年7月7日
    井口産業 井口隆一郎さんがコメントしました。

    染付。
    良いですね。
    濃い所の色味がとても好きです。
    風景写真がうまいと思いました。

コメントを残す

コメントを投稿するにはログインする必要があります。