041 星野邸かなぐと共同開発

2010年11月11日 カテゴリ 未分類 投稿者 かなぐや 太田彩子

ステンレスやアルミの、ちょっとそっけないくらいの質感と、ハンドメイドと生産のあいだのかんじ、そしてそのへんに売っていないかなぐ。杉並の閑静な住宅街の、60坪もあるマンションのリフォームのお手伝いをさせていただきました。欲しいかなぐは上のようなオーダー。と解釈。

久里浜の家など、いろいろごひいきにしてもらっている建築家、Ar.K一級建築士事務所の南部健太郎さんの物件です。

5月の展示会で、私たちかなぐやのつまみやとって類を見ていただいて、せっかくだから、と声をかけていただいたのですが、せっかくだからのせっかくだから、今回南部さんにデザインをほぼお願いして、かなぐの共同開発とすることになったのです。主に個人邸を設計する建築家の考えるかなぐとは?我らの頭の中だけでは生まれて来ないもの、そんなとってやハンドルを、見てみたかった。

南部さん「建築家のなかには、自分の設計した建築物のなかに変わったつまみやとってを入れたがらない人もいるよね。あまり主張のをしないノーデザインのものとかの方が使いやすいみたい。だから、お客さんの方から、こんなの見つけたんですけど入れてくださいってなることがけっこうあるような。」

太田「私たちがつくるものは決して安いつまみやとってではないのですが、それでも、商業施設でもなく、デザインやものつくりを仕事としていないお客さんが、欲しいってなること、あるんですね。うれしい。」

南部さん「やっぱり量産品のつまみなんか300円とか、すごい安いもんね。工務店さんとかは、こんな高いの入れるの!ってなるけど、お客さんとしては、予算のあまりない物件だったとしても、とても気に入ったものがあれば、ポケットマネーからでも..となるよ。」

太田「なるほど」

なるほど。例えば、私が家を建てることを想像してみよう。海?山?沖縄?かどこかの素敵な場所へ、ついの住処をつくります。なけなしの財産をつぎ込む私は、あまり予算ないのですが..と言いつつも、暮らす場所だから、かっこ良すぎないで、ちょっと実家っぽい適当なインテリアもほどよく馴染み、それでいてキラリを光るセンス。とか、設計者を困らせるようなオーダーをするはずです。そんなワガママを、プロに聞いてもらったり正当に省かれたりしながら順調に進む家づくり.. 壁が入り、建具屋さんが製材した扉を持って来て、さあディティールにこだわるっていう時、口座を見るより財布を見て、あった5千円!これでなんとか素敵なつまみを….となっていただくものをつくらなければ。? ちょっと違いますか。

また、展示会でとある方からいただいた大切な言葉。

「これらのつまみを見て、空間を描く、というものになるといいね。」

そして、近所の建築家おばあちゃんからいただいた言葉。

太田「量産品にはないものをつくりたいです」

おばあちゃんは、昔金型で大量生産された、0.5ミリもない薄い引き手を見せ、それは薄いあまり底が小さくちぎれてしまったものですが、銅の合金づくりからと地金をこだわりつつもかたちと仕上げに手を加えすぎていない、とても洒落たものでした。

oさん「つくれるものならつくってみやがれ。建築家は、例えばこのつまみを見て、建具を想像し、部屋を想像し、家を想像し、庭までも想像する。この小さいつまみに、こめるんだよ!!」

わたしたちかなぐやの開発するものは、商業施設そして、個人邸で愛されるものであって欲しいと思っています。建築家のさまざまな意見はとてもためになります。

話を星野邸に戻します。

南部さんとトークなどしつつ、どんなのつくろうか?と材料を見てもらったり、工房にある本をなにげなく見てみたり。

「あまりクラフトーってかんじより、素材に手を加えすぎず、かたちがちょっと光るものとか」

「すこし工場ぽいというか、そっけないくらいがお好みのようですね。」

「建築物にどんなふうに金属が入っていくだろう。装飾でなく。」

空間の真ん中にできるあずまやのような和室の障子の細いかまちへ、なにか良い手のかかりは無いだろうか、そしてその和室は、コンクリートむき出しのクールなオフィスと、フローリングのモダンなリビングに挟まれる。そのあいだにあってなじみ、そして小粋に存在する質感とかたちとは。

そして目に入ったのは、工房にあった建築家スカルパの建築写真集。建築物へさりげなく使われる真鍮の象嵌、これは小粋ですねーなどと本をめくり、建物に対して金属の象嵌で、そしてこれに機能が備わったら..その機能が、ひきてであったら、どんなかたちだろう?ということに。

そして象嵌をするのは私たちではなく建具屋さんです。建具屋さんが細いかまちに対してできる加工、道具を想像します。そしてできたのがこのひきてです。


転がっているだけでは、一体なにものか想像もつきません。こちら、かまちへドリルで穴をふたつあけてもらって、その穴をつなぐようにトリマーを走らせ、そこへすこっと差し込むひきてです。小口から1点ビスでとめてもらえば、前後左右にぶれがありません。

扉厚よりも5ミリ出るような幅で差し込み、手をかけます。裏は引き違いの扉に干渉しないような象嵌の見えがかりとなります。これは私の頭の中だけでは思いつかなかったデザインです。建築家らしい、そしてオシャレな南部さんらしい洒落たひきてだと思います。

また、今回照明やオフィスの2mあるドアハンドルも製作させていただきました。照明は、アルミの板を曲げて穴をあけただけのもの。さらっとシンプルなかたち。壁に打つだけで使えます。

これはアルミ

これは鉄

これは真鍮

そしてドアハンドル。2m四方のガラス扉が3枚つらなるとても大きなオフィスの建具。その床から天井まで伸びるハンドルと、なかなか迫力があります。

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