042 ダリアのエンゲージリング
2010年12月15日 カテゴリ 未分類 投稿者 かなぐや 太田彩子
先月から、エンゲージリングをつくっていました。ご依頼は、2008年の現代手工業乃党「ギフト&トロフィー展」で、私の花の作品を気に入ってくださった方からでした。突然メールをいただいて、
「彼女と一緒に展示を見まして、二人でとても気に入っていたので、12月の彼女の誕生日のプロポーズのために、サプライズで太田さんにつくってもらえないでしょうか」
という内容でした。何年も前の展示のことを思い出していただけて、そんな喜ばしい人生の節目に、少しでも携わらせていただけるのかと、驚きと喜びの気持ちでいっぱいに。
しかし、指輪は普段のお仕事の範疇外で、自信がない、という気持ちがあるのも正直なところ。「私の知人に指輪をつくる人間がいるので、その人と恊働というかたちでよろしければ」ということで快く了承いただけたので、お請けすることとなりました。
昔の話ですが、大学に入り金属加工の選択をしたきっかけは、ジュエリーをつくりたい、という思いからでした。実際に金属を触り、ジュエリーをつくる課題もありました。そこで気づいたのです、私にはこの世界は繊細すぎる、ということに。というわけでジュエリーよりは大きいものをつくっていたのですが、あれから7年、あの時の気持ち、小さいよ〜手が震えるよ〜見えないよ〜というマクロ世界と向き合うこととなったのです。
久々に小さいものをつくるどきどきを胸に、まずは初めましてとお打ち合わせをということで、事前にデザイン面は私が担当、それによる技術面は知人のA担当と決めました。3人で渋谷の喫茶店で待ち合わせ、どんなデザインにするかを話し合いました。
「展示で気に入ってもらえたのもあるし、やっぱりお花で。」
デザインの感触を探りつつ、ジュエリー製作の経験値のあるAに、それならもっとこうした方が映えますよ、という助言をもらいながらの進行は、製作の最後まで続きます。なんと頼もしい。
そして、聞くと未来の奥さんは金属アレルギーのため金属を身にまとうことがほとんどなく、それはつまり手持ちの指輪もないということで、サイズが分からない。やっぱりここはこっそり計っていただいて、サプライズを敢行したいところ。リングゲージをお貸しして、無事を祈るばかりです。
後日、無事寝込みサイズ計測成功の便りを受け、「無理矢理受けさせました」というアレルギーテストの結果を見て、Aが、使用する金属と、お花の寸法、ダイヤの大きさを、予算内でだいたいはじき出します。それを参考にデザインを練り直し、お客さんにお伝えします。
最初にお伝えしたのがこちら。
太田 「どうでしょうか?」
お客さん「う〜んちょっとイメージと違います…ダリアのような雰囲気が良いです。」
太田 「分かりました、ダリアですね。」
お客さん「ただダリアの花言葉がちょっと(笑)」
太田 「どんなですか?」
お客さん「『移り気』です。」
太田 「びっくりです。ではダリアっぽいかたちだけどダリアっぽくない雰囲気でつくってみましょうか?笑」
プロポーズの指輪に移り気とはなんたる花言葉、ダリアめ。
ということで、『ダリアっぽいかたちだけどダリアっぽくない雰囲気』のエンゲージリング、制作開始です。
花の部分は私、腕(リングの部分)はA担当。花はホワイトゴールドで、腕はライムゴールドにしました。始め、プラチナや金であれば反応は少ないのではないかなーと話し合っていたのですが、18金に含まれる銅が良く無さそうで、他にもメッキも良くないということが分かり、腕はライムゴールドが一番良さそう、という調査もAがしてくれました。それらの助けがあって、私はお花のワックス原型づくりに集中することが出来ました。
ワックス(鋳造する際に燃えてなくなるロウのようなもの。)を彫刻刀で削っていきます。
保持する左手が震えるわ、右手もなんでか震えるわ、目は常に10ミリない世界にピントを合わせているせいで、ばちばちしてくるわ、肩はこるわ腰は痛いわ、緊張とブレ防止で呼吸忘れるわ。
しかしだけどだんだん慣れて来て、最後の方にはもうノリノリでした。慣れて来るのもそうですけれど、プレゼント制作ってほんと楽しいんです。たった一人の女性のために、お客さんの想いと、私、Aの想いをこめるのです。どんな反応だろうか… プロポーズどうかうまくいってくれ!
そして出来た原型をAに渡し、腕と共に鋳造屋さんに持って行ってもらいます。木曜日出しの金曜日上がり。その日のうちに早速チェック。とてもきれいに流れてくれました。
花の中心に、ダイヤの座が入る大きさに穴を合わせ、リングとロウづけします。それを、石留めと刻印、彫りのできる職人に渡して、返ってきたものを総仕上げ。全体的にマットな仕上がりにしつつ、リングの内側とはなびらの先を磨いて光沢を出し、華やかさをプラスします。
出来上がりました!
今まであまりジュエリーを身にまとえなかったとのこと、フォーマルにもカジュアルにも普段使いをしていただけるような、タンスの肥やしとならないで、表にばんばん出て行って欲しいというデザインです。
そして彼女の答えは……….
「任務完了しました。
結果は大大大成功でした!
おかげ様でとても気に入ってもらい、かわいいの連続で
土日はずっと眺めている様な感じでした。
本当にありがとうございました。」
おめでとうございます!お祝いに、ティアラもおまけしちゃいます。そして、知人A、ありがとう。
ということで、今年のコラムはハッピーな感じで締めくくりです。いつも読んでくださっている方々、ありがとうございました。また来年も、現代手工業乃党、よろしくお願い申し上げます。
写真いただきました。
Comments
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ただいまー
大成功!おめでとうございます!
着物にも似合いそうだね。
ピアスや帯止め。。。いろんな展開ができそう。
ま、しないだろうけどさ。
飾っておいても素敵だね。
いい仕事ですね。
お疲れ様でした。
amitoさま
着物か〜なるほど!確かに合いそう。
銀色も金色も使っているのが幅がを広げるのかもです。
ありがとうございます。
また、若い時にも、妻となり母となりおばあちゃんとなっても
似合いますように…とのデザインも考えてみたつもりです。