043 ロー付け職人の松林さん
2011年01月21日 カテゴリ 未分類 投稿者 かなぐや 太田彩子
ペンダントヘッドとチェーンを連結する小さい輪っかに、つなぎ目がないのはなぜでしょう?また、ピアスのキャッチの部分の細い棒は、どんな風にくっついているのでしょう。
普段身につけているものが、実はひとつひとつ人の手によってつくられていて、上のような細かな点が、とても重要な役割を果たしているのです。それは、腕が良い程に、つくられた痕跡を主張せずに、とてもさりげなく見えるものです。
御徒町にある松林製作所の、ローづけ職人の松林利昭さんにお話を伺って来ました。
ローづけとは、簡単に言うと、金属と金属を接合することを言います。溶接は、金属と金属の接着部分を溶かし合い、接合します。ローづけは、金属と金属の間に、融点の低い金属を流しこみ、接合します。
「縁の下の力持ちです。」
松林さんはこう言います。
松林さんは、メーカーやデザイナー、つくり手から依頼を受けて、主に銀製のジュエリーのローづけをしています。お父さんからの会社を引き継いで、30年間、ジュエリーが世の中に出て行くのを支え続けているのです。
「親父が僕が20歳のころに亡くなったので、それからずっと独学で続けて今があります。27、8歳になったって、若すぎるって世界ですから、最初は全く信用してもらえなくて、他のところが断った仕事が僕のところに来たのをひとつひとつこなしていって、お客さんも、なーんだまっちゃん出来るんじゃん、ってなっていって。ちょっとづつ結果を重ねていって…なんでもやりました。」
つくることが大好きだという松林さん、難しいのが来る程、燃えるそうです。
「ローづけがうまくいった時は、感動というか、気持ちいいです。よっしゃーってなります。こういう世界に興味があって、続けている人って、小学校の時とかに図工が5だったはず。太田さんもそうでしょ。今までこれを聞いた人は100発100中ですよ。高校の時につくった列車は、プラモデルを組み立てるだけじゃつまらないからといって、親父に買ってもらった真鍮板一枚からつくったものです。小さい頃からものつくりが好きだった人は、きっと、ずーっと好きなんですよ。」
あたり!体育2、美術5でした。わかりやすい子ですね。そして、松林さんの工房にとても興味深い道具が無造作に転がっているではありませんか…。
これは細い線材を欲しいかたちに曲げる、やっとこ(ペンチみたいなものです)です。先っちょに自作のジグをローづけして、とても器用にハートが出来ました。ハートもかわいいのですが、職人の道具って、どうしてこうかっこいいんだろう。売ってたら買っちゃいそうです。
こちらは戦艦ヤマト。なんと銀製です。プラモデルでは接着剤でくっつけるような小さなパーツを、すべてローづけしています。これこそ凄すぎてどんなに凄いかをお伝えするのが難しいです。
ローづけは、どの部分に熱がたまっているか、どのように炎をあてれば流れるロウを誘導できるか、経験によって培われたカンでの仕事です。サーモグラフィーのように温度が見えるわけでもなく、もし見えたとしてもこれだけ細かいパーツを順繰りにローづけしていくことはとてもスリリングです。こっちをつけたらあっちが外れてしまうとか、細かいパーツの先っちょが溶けてしまうとか、船体のデッキの細いスジにローが流れていってしまうとか、本当にデンジャラス。どうつけるかを考えるだけでも2日かかったそう。しかし私だったら何日かかるやら。というより出来ません。こちらも、どこにも出来なかったものが、松林さんの手によってようやく立派な戦艦となったものです。
御徒町は、ものつくりの街です。宝飾、仏具、あらゆるものつくりを支える業者さんがたくさん集まっています。
「まわり、ものつくりだらけですから。例えば町内会のお祭りで神輿のチェーンが壊れたとなっても、じゃああいつのとこに頼んどけーって、なにがあっても全ての業種が揃ってるから、すぐになんとでもなりますよ。お神輿をかつぐみんなが揃えば、なんでも!つくることが出来るんですよ。」
これってすごいと思いませんか!
今回、かなぐの商品化にあたって松林さんの協力をいただこうと伺いました。今生産されているかなぐって、ローづけで出来ているものなんてほとんど出回っていません。それは、プレスなどの方法の進化によるものと思うのですが、昔の建築についているような金物、よく見るとロー目があったりして、これがなかなか味わい深い。これこそ手の痕跡だと思うのです。この銀色の細いスジだけで、シンプルなかたちに、メッセージというか、ひとつの手作りの意味を持たせることが出来ると感じています。私は松林さんに、スジひとつの「手作りの痕跡」を残すことをお願いしています。
とても気さくな松林さんでした。
松林さんの大事な一部、バイクです。
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美容室の看板をつくりました。アルミのお花のリースです。
本年も、よろしくお願いいたします。 太田彩子

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