卒アトリエ

2013年4月2日 atelierYJK 國武 泰子

日本中、桜ウェ〜ブが駆け巡っていますね、日本の春は美しいです。

 

 

 

 

 

 

 

さて、今回はものづくりネタではなく、私事なのですが、

この度、私が所属するAMP GALLERY&CAFE内アトリエを離れる事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

佐賀の背振山麓、全国的には遺跡で知られた吉野ヶ里、といった方が分かり易いでしょうか、

山の麓の綺麗な水と空気の自然豊かな土地にAMPはあります。

元々はお茶工場だった所を、鉄の作家さんを始めとするメンバーの手によって、

アトリエとして改装されました。

 

 

 

 

 

 

 

随分錆びましたが、ギャラリーの巨大な鉄の扉。

鉄の作家さんが事故で他界され、その空いた場所をお借りする運びとなり、

4年前、ここでものづくりを始める事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本業のジュエリーと兼業で始めたメタルdeものづくり。

福岡中心部から片道1時間かけて、週末に通う日々。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄の作家・寺田太郎氏の作品がそこここに。

 

 

 

 

 

 

 

鹿の手前にチラ見えしている、箱船という大きな作品。

今は展示から外してあり、撮影しようにも画面に収まりませんでしたが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寺田氏の作品は、私がAMPに参加する前から、誰が作ったと知らずに福岡市内の

至る所で目にしては、カッコいいなーと惹かれていました。

結局生前に出会う事は無かったのですが、勝手に呼ばれたのだと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらがアトリエ側の鉄扉。赤く錆びてますが、とても綺麗です。

 

隣のブースで作品を作っている工房仲間の鋳造作家、

ギャラリーでは色んな分野のアーティストさんによる展示、

作業の合間には、カフェで休憩。山の湧き水で淹れて貰うコーヒーにホッと一息。

イベント、ワークショップ、ライブ、自然の中で発見する動植物から受けるインスピレーションの数々、

こんな環境で4年間、ものづくりを続ける事が出来て、とても幸せでした。

これからも拠点を変えてものづくりは勿論続けていく所存です。

 

 

 

 

 

力一杯の感謝を込めて。

 

 

道具好きの修理好き

2013年2月22日 atelierYJK 國武 泰子

こんにちは。ドカ雪とかPM2.5とか花粉とか色々飛んでますが、
みなさま、モノ、作ってますかー?

実は最近、あまり実際に手を動かす仕事をしていません。
苦手な左脳ばかり使ってぐったりしております。
なので過去ネタで、よく頼まれるものをひとつ。

ソムリエナイフの修理。

何件か請け負った事があるのですが、これって結構壊れやすい構造してますよね。
力のかかる部分が一点ですもの、壊れる所はおのずと決まってきます。

この時のお預かりは、こんな感じ。

 

 

 

 

 

 

 

そりゃそうですよ、って壊れ方ですね。
アンティークだそうで、某ソムリエナイフブランドのロゴが入っています。
最近のものより少し太めで、真鍮の飾りが珍しいです。

 

 

 

 

 

 

 

まずは折れたコルクスクリューを取り外します。
外してみて気付いたのですが、ステンのスクリューに真鍮のピン・・・
このパターンは初めてです。

 

 

 

 

 

 

 

既製品のソムリエナイフから、スクリュー部分だけ拝借して
手抜きしようと悪知恵を働かせましたが、根元の厚みが違いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで小さく切った薄いステン板を両サイドにロウ付けして、
同じサイズになるように削っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

コルクスクリューの出し入れがスムーズにいくよう何度か調整したら、
ピンで固定します。通常は新しいステンのピンに取り替えるのですが、
表の真鍮飾りとの違和感が嫌なので、曲がった元々のピンを叩き直して使用しました。

 

 

 

 

 

 

 

 
おまけで真鍮部分を磨き直して、ピタッと元通り。
長く大切に使われる道具が大好きです。

 

注意事項>>こういうブランドのソムリエナイフは、修理の受付がブランド本社のみ、
という取り扱いが多く、パーツを取り替えると改造品になってしまいます。
改造品になったらブランド本社での修理の受付をして貰えなくなる可能性もある為、
受け付ける前にきちんと説明をして、クライアントに了承してもらう必要があります。

ヒカリもの 〜後編〜

2012年12月15日 atelierYJK 國武 泰子

さ、ビフォーアフターのお時間です。

なんということでしょう!匠の細やかな配慮が・・・とか要りませんね。
引っ張っといてなんですが、ちゃちゃっと結果だけやっちゃいます。

Before                                                                                      After

オパールのペンダントヘッドです。
斑の色味は薄く、透明度が高いオパールでしたので、裏板に細工しました。
上下の間にダイヤをひと粒入れて、連結部分は可動。揺れる角度で十字架が浮き出ます。

Before                                                                                   After

腕の良い職人さんが作られたのでしょう、ルビーを取り巻いているテーパーダイヤのセッティングが
とても綺麗だったので、崩さずリング腕をカットしてそのまま使う事をお勧めしました。
他のお預かりリングから外したテーパーダイヤを集め、チェーンを通すカン部分を作り足しました。

Before                                                                                   After

はい。変わってません。比較的新しい製品でしたし、作りも綺麗でした。
そういうものを安に儲けだけを考えて、作り替えのお勧めはしたくない派です。
私も作り手ですから、私がされたくない事はしません。サイズ直しと磨き・洗浄のみ。

Before                                                                                      After

キャッツでも金!・・・・はい、キャッツアイは断然K18イエローゴールドがお勧めです。
この石はその名の通り、猫の目のような縦ラインが出来るだけ綺麗に見えるよう努めます。
透かしで地金を軽くし、所々にダイヤをちりばめました。

Before                                                                                        After

エメラルドです。囲った方が圧倒的に色に深みが出ます。
割れやすい石でもありますので、小粒ですし普段使いしていただけるよう、ふせ込みで石留め。
エメの透明度を引き立たせる為、竹モチーフの腕はつや消し、間に他から外したダイヤをセット。

Before                                                                                       After

アコヤ真珠とキャッツアイに、色味を揃えた小さな真珠を2ピース足し、1本にまとめました。

Before                                                                                        After

スターサファイヤなんですが、色がにぶ〜いバイオレット。
スターが綺麗に出る様にカットしてあるので、カボッションが歪んで形もいびつ。
石の歪みが目立たないよう、惑星イメージの半球に埋め込み、クレーターをダイヤで。
夜のお出かけで着けていただくと、ライトを反射してビカーッ!!と星が出ます。

Before                                                                                        After


元々色の薄いサファイヤで、昔のデザインは高さがあるので光が入り過ぎ、色抜けしてました。
普通は光が入る様に石座の側面に窓を開け、地金を軽く仕上げる為に裏板を抜くのですが、
色抜けしないよう、座の裏を完全に伏せました。チェーンはダイヤ部分の裏に通します。

 

こんな感じで、石の性質、色、形、勿論価格やお客様の好みも考慮してデザインしています。
何より、地球が出来た時に生まれ、削り出されたコイツは、この世に1個しかない!と思うと、
座骨神経痛に歯を食いしばり、やれる範囲で一番綺麗に見せてやろうと思います。

ヒカリもの 〜前編〜

2012年11月15日 atelierYJK 國武 泰子

手工業の党メンバーの皆さん、展示お疲れさまでした。
また、私は出展出来ませんでしたが、来ていただいたお客様にも御礼申し上げます。

 

さてさて、そろそろジュエリーデザインのお仕事について書いてみます、、、
と言っても、“ヒカリもの”。
僕たち男の子には興味ないかもしれませんし、
君たち女の子にも手の届かない世界とスルーされる事請け合いなのですが。

 

大半はリフォームで、お客様がお持ちの品を今の生活に合わせて
使い易い物にお作り替えするというものです。勝手に話進めてます。テヘッ♪

 

先日させていただいたお仕事では、10点お預かり。
ヒスイ以外は20年以上昔の製品だと思います。随分汚れていますね。
上段左から
①オパール(+テーパーダイヤ、メレダイヤ)
②オパール縦長
③ルビー(+テーパーダイヤ)
④ヒスイ(+テーパーダイヤ)
⑤エメラルド(+テーパーダイヤ、メレダイヤ)
⑥アコヤ真珠(+メレダイヤ)
⑦キャッツアイ(+メレダイヤ)
⑧キャッツアイ(+テーパーダイヤ、メレダイヤ)
⑨スターサファイヤ(+マーキスダイヤ、メレダイヤ)
⑩サファイヤ(+テーパーダイヤ、メレダイヤ)

 

デザインが決まるまで、枠から石を外せないので、頭の中で全ての石を組み直してデザインを起こします。
ご予算やご要望に合わせたデザイン、
場合によっては、ご要望を全く無視したデザインをいくつか提案させていただきます。

 

<デザイン例>

原則、実物大で描きます。
中石、脇石の留め方が分かるよう、
それぞれの石留めしている爪も描きます。
この場合、周りのダイヤメレーが1.4㎜位ですので、
その爪の大きさは大体0.3〜0.5㎜くらいでしょうか。

 

 

 

 

 

ダイヤ用のテンプレートです。

100分の1で1.4㎜、約0.01ct、
勿論1㎜の石を留めてる爪はテンプレにはありませんので、手描きです。

 

 

 

 

お客様にお出しする前には、ハイライトを入れて、

立体感を付け、色付きの台紙に貼ってお出しします。
厚口のトレペを裏、表から色付けする事で、
台紙に貼った時には少し立体感が出ます。

 

 

 

 

 

色の薄い石は色抜けしないよう、周りを囲ったり、裏を伏せたり、光の入り具合を調節して、
地金の色との組み合わせも考え、最大限に良い色を出してあげます。

 

または、色の薄さ、透明度を利用する場合もあります。

 

石の価値が高い物はそれなりの装飾を、
そうでない物は金額をかけずにそれなりの見栄えがするように。

 

更に、耐熱や硬度など、石の種類・性質によって石留めの方法や、石留め後にロウ付け出来るかなどを考慮して
描きますが、それはデザイン上では分かりませんね。

 

 

出来上がりが気になるところで、次回へ続く。。。。

 

 

⬅キーボードの正しい使い方

 

 

季節の調理器具

2012年9月19日 atelierYJK 國武 泰子

最近させていただいているおしごと。『抜き型製作』のお話。

前々から遊びで作ってみたいと、ふざけた図案だけは考えていたのですが、
時間の余裕がなく、考えるだけに留まっていた『抜き型』。

夏前に、レストランオーナーシェフより、極小抜き型の製作依頼をいただき、
それ以来、季節毎にご依頼いただいております。
よく目にする、さくら・梅・鮎・紅葉などの日本伝統文様や、
クッキー型の星・葉・クリスマスツリー、ジンジャーブレッドマン。
既製品は、複雑なモチーフも抜き易さを考慮して図案化されています。

 依頼はもちろんオリジナルの図案で、売ってないサイズですので、1点手づくり。
以前お作りしたのは、夏のメニューに『金魚(18mm)』でした。

金魚A

 

なんせ小さいのに、依頼主様ったら
『金魚らしく泳いでる感じに』。。。
この時点で、左右対称が消えるわけです。

 

 

 

金魚B

 
 

ジュンサイ、バジルシード、パッションフルーツを
合わせた冷たい土佐酢の池に、
泳がせていただきました。

 

 

 

 

 

そして今回は『トンボ』で2件。
以前と同じレストランからは2cm、新たに和菓子屋さんから3cm以内でとのご依頼。

簡単なスケッチから型紙を作り、
型紙から折り目を、厚さ0.3mmの真鍮板に写し取り、
印にステン定規をあて、軽く折り曲げ。

ステン板だと細かい揺らぎが出難く、
アルミ板だとヤットコで整形中、エッジが崩れます。
既製品はステンが多いですが、
伝統工芸の抜き型職人さんは真鍮板を使っているようです。 

 

 

 

大体の形に折れたら、ロウ付け。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤットコで細かいところを成形したら、

 

 

 

 

 

 
 刃の部分を研いで、磨きます。

私は先端工具の入らない細かい部分には、
ポリッシュスティックを使っています。

折れにくく減りにくく丈夫なわりに、カッターで削れるので、
さらに細かい部分には、先端を鉛筆のように削って使っています。

 

 

 

試し抜き。
(こちらは和菓子屋さん依頼分)

縦画面で作られる和菓子とお聞きしていたので、
少し斜め目線のトンボにしました。

 

 

 

 

夕焼け空の赤とんぼ。
(こちらはレストラン納品分)

味だけでなく、目で季節を感じられる、あっぱれ日本の食文化。

自分の製作物で完結するものも良いのですが、
更に別の作り手さんに、もうひと練りしていただける道具作りは格別です。

 

 そして今は、冬のモチーフを何にするか、頭を捻っているところ。

 

 

チャンピオンの証

2012年8月10日 atelierYJK 國武 泰子

はじめまして。このたび現代手工業乃党に参加させていただくことになりました、
クニタケヤスコと申します。

記念すべき第一号の記事ネタを何にしようか、ちょっとカッコイイ仕事を・・・と散々考えたのですが、
普段、修理前の製品の記録か、完成品を携帯のカメラで撮影する程度なので、
これからは何事も記録しておかなければ、、、
最近の仕事で、作業工程を記録しているものがコレしかないのが残念です。

とある大会のチャンピオンベルト製作依頼のお話です。

大会の主催者側からお話をいただき、軽くデザイン・サイズの打ち合わせをして、

 

 

銅版・真鍮板を切り出し、パーツをロウ付け、
ある程度叩いて大まかな形を成形。

 

 

 

 

 

唇を打ち出し、歯に銀ロウを流し、
良い感じに気持ち悪くなってきた所で、

この後、磨き、硫化、磨き。
既製品の型でガチャーンと量産するものとは違う、
手作り感が欲しいので、あえて馴らしなめしません。

 

 

 

 

パーツを取り付け、こんな感じ。
気持ち悪さに気品が出てしまいましたが、

 

 

 

 

 唇に赤のラインストーンを敷き詰めます。
(写真は仮留めの状態です)
大会のイメージに近づいてきました。

 

 

 

 

 

  
ベルト素材に立派な本革使用。
革をバックルに合わせてカットし、
リベットで取り付け。

 

 

  

 
第一回、第二回のチャンピオンの
ネームプレートを入れ、
協賛者のプレートは打ち合わせ前の為、
無地のまま、着脱可能なように留め、

ベルト金具ホックを2列に取り付け、
いざ、第三回大会へ。

 

 

 

 

激闘の末、
無事、第三回のチャンピオンの手(腹)に。

 

 

 

 

 

 

福岡市内の飲食店を中心に、毎度本気で行われてます。
勿論、私も本気です。

 え?ジュエリーネタじゃないの?と思われた方も
いらっしゃるかも知れませんが、
そのうちに。

 面白そう・・・をモットーに仕事をえり好みしています。
今後ともよろしくお願い致します。