季節の調理器具
2012年9月19日 atelierYJK 國武 泰子
最近させていただいているおしごと。『抜き型製作』のお話。
前々から遊びで作ってみたいと、ふざけた図案だけは考えていたのですが、
時間の余裕がなく、考えるだけに留まっていた『抜き型』。
夏前に、レストランオーナーシェフより、極小抜き型の製作依頼をいただき、
それ以来、季節毎にご依頼いただいております。
よく目にする、さくら・梅・鮎・紅葉などの日本伝統文様や、
クッキー型の星・葉・クリスマスツリー、ジンジャーブレッドマン。
既製品は、複雑なモチーフも抜き易さを考慮して図案化されています。
依頼はもちろんオリジナルの図案で、売ってないサイズですので、1点手づくり。
以前お作りしたのは、夏のメニューに『金魚(18mm)』でした。
なんせ小さいのに、依頼主様ったら
『金魚らしく泳いでる感じに』。。。
この時点で、左右対称が消えるわけです。
ジュンサイ、バジルシード、パッションフルーツを
合わせた冷たい土佐酢の池に、
泳がせていただきました。
そして今回は『トンボ』で2件。
以前と同じレストランからは2cm、新たに和菓子屋さんから3cm以内でとのご依頼。
簡単なスケッチから型紙を作り、
型紙から折り目を、厚さ0.3mmの真鍮板に写し取り、
印にステン定規をあて、軽く折り曲げ。
ステン板だと細かい揺らぎが出難く、
アルミ板だとヤットコで整形中、エッジが崩れます。
既製品はステンが多いですが、
伝統工芸の抜き型職人さんは真鍮板を使っているようです。
大体の形に折れたら、ロウ付け。
ヤットコで細かいところを成形したら、
刃の部分を研いで、磨きます。
私は先端工具の入らない細かい部分には、
ポリッシュスティックを使っています。
折れにくく減りにくく丈夫なわりに、カッターで削れるので、
さらに細かい部分には、先端を鉛筆のように削って使っています。
試し抜き。
(こちらは和菓子屋さん依頼分)
縦画面で作られる和菓子とお聞きしていたので、
少し斜め目線のトンボにしました。
夕焼け空の赤とんぼ。
(こちらはレストラン納品分)
味だけでなく、目で季節を感じられる、あっぱれ日本の食文化。
自分の製作物で完結するものも良いのですが、
更に別の作り手さんに、もうひと練りしていただける道具作りは格別です。
そして今は、冬のモチーフを何にするか、頭を捻っているところ。


泳いでるね 金魚、、、
ありがとうございます。
どんな風に料理されるのか、毎回楽しみです。
小さいのに奥深いですね!
“少し”斜め目線ですよ。それに金魚。。
泳いでます。。。
泳がせてくださったオーナーシェフは元建築家でもあり、
ものづくりのセンスを既にお持ちの方なので、
表情というか、風情というか、その辺の所まで気を使います。
難しさも含め、楽しんでいますけどね。
型ってこうやって作るんですね!
金魚かわいい!
そしてこれって、ほんとに小さそうですね。。。
ありがとうございます!
1.8cmなんですが、作ってる時は指先につまみながらで大変でした。